LOVE PRECIOUS



「ねぇ…」


「?」


「私達人間にとって大切なものって何だと思う?」


ジェーンは突然真剣な目をして僕に問いただした。


「人間にとって大切なもの?」

「そう。
人間が生きていくのに最も重要なもの。」


生きて行くのに1番重要なもの。


「それは、家だとか食糧だとかじゃないのかい?」


それがなければ人間は生きられないし。


「聞き方を変えるわ。」


どうやら彼女には気に入らない答えだったらしい。


「人間が人間でいるために大切なものはなに?

あなたにとってこれがなければ人間を捨てると思うものはなに?」


「………」


言葉が出なかった。

それと同時に壁を感じた。

それは、僕には届く事のない高い壁。

「答えられないの?」


静かで落ち着いた声。
だけど心の奥まで刺さってくる言葉。


僕が人間でいられる理由…


「…存在理由。」

「え?」


「僕が人間でいられるのは存在理由があるからだ。」


"お前はおかしい"
"子供らしくない"


おさない頃の大人たちの声が聞こえてくる。


昔の事なんてとうに忘れたと思ってた。


「そう思わせるような出来事があったの?」

「昔にちょっとね…」


だけどこうやって探るような質問をされるとよみがえってくるんだ。


「でも、存在理由とか大きなこと言ったけど僕は誰かに信頼してもらえるような人間になりたかった。」

"お前っていろんな事知ってるんだな!"
"シン!何か気持ち悪いんだけど…薬を…"


「そしてこの船には僕を信頼して一緒に旅を続ける人たちがいる。

だから僕も彼らに信頼をおいている。」


「…信頼、ね。」


ジェーンは何かを考えるように僕の話を聞いていた。


あ、確かに信頼も大事だけどもっと大事なことがあった。


「あともう一つある。」


「もう一つ?」


「それは…。」




シンSIDE終わり