ナツキSIDE
俺は食堂を出て甲板へ出た。
夜の海は神秘的だ。
星だって綺麗に見えるしな。
「にしても、あいつはどこにいるんだ?」
甲板をフラフラ歩きながらアイを探す。
「まさかショック過ぎて身を投げ出したってことはねぇよな?」
まさかな。
あいつに限ってそんなことないな。
と思ってたら俺の目がアイの姿を捉えた。
が…
「なんであいつヘリの上に立ってんだ?
まさか本当に身投げ!?」
アイは舟のヘリの上に立ち海面を見ている。
今にも飛び込みそうな勢だ。
「ふざけんなよ…」
俺は急いでアイに駆け寄った。
「てめぇ!
何してやがる!」
「えっ…ナツキさん!?」
「俺達に迷惑かけといて自分は身投げか!?
ふざけんなよ!?」
俺はアイの元にいくと手をとってヘリから降ろそうとした。
「ナ、ナツキさん!?
身投げってなんですかぁ!?
ちょっ!引っ張らないで下さいよ!」
俺に対抗しようとヘリの上でもがくアイ。
「あぁ?!
見ての通り海に飛び込もうとしてんじゃねぇかよ!!」
「なんですかそれ!
私がいつ海に飛び込もうとしてるん…うわぁ!!」
「危ね!」
ヘリで暴れてたせいでアイは体制を崩して倒れた。
「いってぇ…」
俺はすかさず受け止めたがまさかの俺が下敷きとは。
カッコ悪りぃ。
「いたた…
ナツキさん!?大丈夫ですか!?」
「ったく。
手間かけさせんなよ。」
「手間も何も勘違いしたのはナツキさんですよ?!」
下敷きになってまで受けとめてやったのにむすっとした顔で俺に文句をいう。
「私は身投げなんてしません!
ヘリに座ってたんで降りようと思って立っただけです!」
「はぁ?
あぁ!もう!
めんどくせぇ女だな!
心配して損したじゃねぇかよ!!」
思わず本音がぽろっと出てしまった。
