シンSIDE
「ふぅ…
疲れたわ。」
僕の隣でため息をつくジェーン。
「俺たちも疲れたわ!!」
ナオは今にも取っ掛かりそうな勢いでジェーンを見る。
「ところで。
あなたこの舟の船医なんでしょ?」
「…そうだけど?」
何か企んでいるような笑顔で僕を見る。
「お願いがあるんだけどいいかしら?」
「どんなお願いかによるけどね。
必要によっては僕が君を殺すかもよ?」
実際さっきのやり取りを見ててこの子に怒りを覚えない訳はない。
アイのあんなくるしそうで寂しそうな顔を僕は見たくない。
「全く…
すっかり私が悪者ね。
まぁいいわ。
場所を変えましょう!」
そういうとジェーンは僕の腕を引っ張って食堂を出た。
「どこに行くんだい?」
「あなたの部屋に行けば薬は作れるのかしら?」
「は?」
「だから薬を作るにはどこに行ったらいいの?!」
どこに行けばいいのかと聞く割には僕の腕を離さずズカズカ歩いて行く。
「僕の部屋じゃ無理だよ。
こっちだ。」
「早く言いなさいよ!」
「……」
困ったお姫様だ。
よくこれにアイは耐えられたな。
「…で?
君は一体何の薬を作るんだい?
毒薬?」
冗談混じりに聞いてみた。
「そんなわけないでしょ!
あんたに言えるわけないじゃない!」
言えないような薬なの?
「じゃぁ僕は君をこの部屋には入れられない。
ちゃんと何をどういう理由で作るのか教えてくれないとね。」
僕は部屋の前に立ってジェーンに言った。
だってこまるじゃないか。
惚れ薬とか毒薬とか冗談半分で薬を作られるのは。
「…あの子の為よ…」
「え…?」
「アイの為に作らなきゃいけないの!」
また目元に涙が溜まってきてる。
「わかった。
何か理由がありそうだね。」
僕は入りなよとジェーンを部屋へ促した。
全く…
君達2人は隠し事が多いみたいだね。
シンSIDE終わり
