LOVE PRECIOUS




「見ましたか?」


淡々と俺の目をみて話すアイ。


「私は自分の感情に任せて剣を振るい、引きがねを引く。


何年か前にはそのせいで大切なものを失った。

血にまみれ、大切なひとを守れず、大切な仲間すら人殺しにした。


そんな真っ赤な血に染まったこの手を。
知らない赤の他人を切った汚いこの手を持った私をこのままこの船に乗せますか?」


だんだんと胸ぐらをつかんでいた手から力が抜けてくる。


何でだかわからないけど

俺たちだって何度剣を振るい引きがねを引いたかわからない。

そのせいで命を落とした奴だって多いはずだ。


でも俺達はそんなこと考えたことなかった。


「僕たちだってアイと同じ事をしてるんじゃないかい?

なのにどうしてそんなに自分を責めるの?」

シンが静かにアイに言う。


「だって…
みなさんは自分を、仲間を守るためでしょう?

私は違うのに….」


「何が違うのか教えて欲しいな?」


「私は…「アイ。それ以上いったらダメよ。」」


「ジェーン……」


「全く気性が荒くなるのは変わらないわね。


今のは本気で殺されるかと思った。」


「悪い…」


俺はそっとアイから手を離した。


「別に平気よ。

あなたが人を殺すなんてできるわけないじゃない。


昔から傷つける事すらためらってた人なのに。」


「…ごめん。」


「で、今のでみなさんは分かってくれたかしら?

アイの正体を。」


ジェーンは一歩前にでて俺たちに言った。


「聞き間違いではないんだよな?」


ルカが真剣にいう。


「もちろんよ。」


「そうか。」


ルカは少し切ない表情をして顔を背けた。