「大丈夫?
怪我はないか?」
「っ、ど、どうしてっ、」
「ん?」
「どうして、ここに私がいるって…」
私は船の物置きに閉じ込められていて普通じゃ気づかない場所だった。
「君が……
君が俺に助けを求めたから。」
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これがアイと私の出会いだった。
恋の始まりみたいな出会いでしょ?
もちろん私には初めての恋の出会いだったわ。
アイが女だって知らされるまで。
知らされてショックを受けたけどそれでも私はアイのそばを離れたくなかった。
だから二年間。
アイやユキ、ランが乗っている船に私も乗ったの。
「ジェーン?
聞いてるか?」
思い出にふけっていたらアイのことを忘れていた。
「ごめんなさい。
なんだったかしら?」
「だから、
この暗号をランは解いたのか?」
「いいえ。
ランは解けなかった。」
本当は嘘。
mind ogre(頭脳の鬼)
と呼ばれたランが解読できないはずはない。
「そうか。
じゃぁ私にはもっと無理だ。」
「そんなことないはずよ?」
「無理に決まってる。」
「嘘ね。」
不服そうに私をみるアイ。
「私には無理だからハルに頼んでくる。」
「え!?」
「私なんかよりハルの方が何倍も頭がいい。」
そう言って食堂の方へ歩き始めた。
「待って!!
なんでハルにそれを解読させなきゃいけないの!?」
私はアイの後を追って行く。
それでもアイは無言で食堂へ向かう。
「待って!!!
私はあなたに頼んでるの!!」
無視。
このままじゃ、全てが狂ってしまう。
どうにかしてあれをアイ自身に読ませないと…
どうにかして…
ジェーンSIDE終わり
