「で?
私に何か用事があったからわざわざ危険な目にあってここまでいたんでしょ?
どうしたの?」
そうだったわ。
私はアイに用事があったんだった。
「これよ。」
そう言って私がポケットから取り出したのは一枚の紙切れ。
「何これ?」
アイは顔をしかめた。
「お父様の部下達が出港の荷物検査をしたときに出て来たそうよ。
見るからに暗号化されてるから怪しいと思ってコピーしたみたい。」
「どこの船からでてきたんだ?」
アイの目が変わった。
「わからない。
その日は結構な量の船が出港してた見たいだから。」
「そうか。」
紙切れをじっと見つめるアイ。
「つまりこの暗号をランに解いてもらおうと2人に会ったのか。」
「そうよ!
誤解は解けたかしら?」
「そうだな。
それにお前がユキ達と会ったのは私が会う一ヶ月前だから。」
「そうだったの?」
アイは少し切なそうにあぁっと言った。
「で?
この暗号をランは解いたのか?
まぁ、あいつの事だから簡単に解けたと思うけど。」
アイは紙から私の方へと視線を移した。
その目はかつてのアイ。
女としてではなく男として船に乗っていた時のアイ。
私は昔その目をしたアイが大好きだった。
曇りのない。
真っ直ぐで綺麗な目が。
