初恋合戦

一ヶ月後。

ぱんぱんっ。

「苺大福のカミサマ、これからもずーっとお怒りください」

なんてバチあたりなお参りをしている人間が、国会議事堂前に6人いた。

紆余曲折を経て初心を貫い(?)た三組の初恋カップルは、

どれもめでたく成就して、大の体調もまずまず順調。

結局6人ともが多かれ少なかれあのジンクスを知っていたという。

初江と福江など、そのハナシをもとにあの行事を思いついたそうだ。

大福語が話せるとウワサのオンナとは、初江のことだった。

ヘンなバイリンガルがよっぽど恥ずかしいのか、

「大福語」なるワードは初江によって封印されたので樫男と大しか知らないが。

「じゃあ、行こうか」

みんなで関西に戻ることになった。

大人二組は結婚し、「大・国子・樫男」と

「福江・初江・樫次」はそれぞれひとつ屋根の下で暮らすのだ。

そう、大は樫男と一緒に暮らす。

福江や樫次たちの暮らす堂本堂にも毎日のように通えるだろう。

イノセの予言は間違ってはいなかった。

結婚話を聞いただけでも、

「なんでそんなうまいこといったの」

と知人一同驚いていたが……

6人の間でしかぜったい話せないな。

と思うとつい、また遠い目をしそうになる。

(信じてくれないだろうなあ)


初恋と、苺大福と、国会議事堂のおかげだなんて、ね。





終・‥…━━━☆