「あのー……」

エンリョがちに、声をかけられた。

「はい?」

ぜんぜん知らない人だった。

「これ……」

でも向こうはコッチを知っているらしい。

「これは……っ!」

「あなたがた、ですよね?」

きけば病院中に貼ってあるビラだという。


〝WANTED〟


四人の顔写真と名前、ついでにスリーサイズ。

とにかくデカイ。写真も文字も。

おかげで目立ってしょうがない。

「ふ~く~え~っ!!」

初江が怒り狂って握りつぶしたビラの裏には、こうあった。

〝かあさんへ

 四人が集まると、

 もり上がっちゃってぜったいチコクすると思ったんで、

 見ず知らずの人たちのゼンイを利用することにしました。

 でもこれ、ホケンよ?

 このビラを受け取ったってことは、

 もう三時すぎてるんですからね。

 四人ともはやく来てね。

 でないと大ちゃんとカケオチしちゃうかもよ?



 福江〟


完敗という口調で、樫次が表書きを読み上げた。


〝WANTED チコクじょうしゅう犯

 本日午後三時をすぎて、

 この四人を見かけた方は、

 言ってあげてください。

『いいトシしてチコクすんな、時計ぐらい見ろ』って。〟