「ボウズはここで待ってな。」

大人だけのダイジなハナシというわけだ。

そうはいくか。

「うん、わかったよ」

聞き分けが良すぎてブキミに思われたかもしれない。

「コレを持っていてくれ。俺たちはこれを福江ちゃんに届けに来たんだよ」

はじめて樫男が口を開いた。樫次から菓子包みをとり、大に渡す。

口だけでなく、目もボクをしっかり見つめて。

しっかり見つめて。

……まだ見てる。
(なんで?)

樫男の目にいちだんと力がこもる。

大ははっとした。

テレパシーのように――なぜか女のような声をともなって――ひらめいた。

樫男の言いたいことが。

――行きなさい。

でも……でも、そうはいかないよ…。シオにぃだって結局はオトナだ。

なにか裏があるんじゃないかな……。