「この馬車です!ここに乗って下さい!」
「わかった。」
私は頷く。
そして、兵が開けたドアから馬車に乗り込んだ。
私のあとに、ドアを開けていた兵が馬車に乗り込む。
「私もご一緒します。万が一何かあれば、私か、外にいるもう1人の兵に言って下さい。」
「わかった。…あれ?貴様は確か…国王に何も知らされてないと言っていた…。」
「ダイザと申します。えっと…ラーナ様…。」
「…その呼び方はやめてくれ。なんだか…照れ臭い。」
私がそう言うと、ダイザは少し考え込んで言った。
「じゃあ、ラーナさんっ!私のことはダイザとお呼び下さい。…ラーナさんなら…いいですよね?」
そう言ってダイザは困った風に笑った。
私はそんな彼を困った顔で見つめていただろう。
「では発車します。」
外で、もう1人の兵がそう言ったのを聞いた。