私の髪が風になびく。
…うっとうしい。
いっそのこと切ってしまおうか?

カサッ

足…音?
私は振り返る。
そこには見慣れた顔があった。
「よっ、ラーナ。」
「…ルアラか。」
私はルアラを見る。
彼は初めて出会った時と同じ、真っ黒な作業服を来ていた。
髪はショートだが、前髪だけは相変わらず長い。

…私がいまいる村、ボズニアは食料をたくさん作っている村で、首都にもたくさん食料を送っているらしい。
「なぁ。お前、今日が何の日か覚えてるか?」
「え、今日か?…なんだっけ…?覚えてない。」
私がそう言うと、ルアラは困ったように笑った。
「今日はお前がここに来て2年目だろ?忘れんなよ。」
「そうか!もう2年目か。」
私はそう言ってしばらく考え込んでしまった。しかし、意を決し、ルアラに頭を下げる。
ルアラは私の行動に驚き、目を丸くした。
「ど、どういう風の吹きまわしだよ!?」
「か、風の吹きまわしなどではない!…2年前、私をこの村に連れてきてくれたことに、改めて礼を言ったのだ!…この村の奴らはみんないい奴ばかりだ。…だから、ありがとうだ。」
私は言った。
…顔が熱くなる。
ルアラはそれを見て、嬉しそうに笑った。