私は…帰る家がない。
だって、家は焼けちゃったから。
だから町を転々と歩き渡っていた。
そんなとき。

「ねえ君!…ボロボロだよ?大丈夫?」
後ろから来た女の子に手を捕まれた。
私はその手を振りほどき、声を荒げた。
「かまわないでよ!」
私の声に、女の子の肩が一瞬震えた。
だけど彼女は私に笑いかけてくれた。
「警戒しないで。あたし、アンジャ!…私の家に行こう?服、貸すから。」


ーーーーーあれから2年。
あの子は、やさしかった。なにも悪くない。
悪いのは…ワタシーーー

「あんたがこの家に来てからアンジャの体調が悪くなった!出てけ!このっ!…疫病神っ!!」
アンジャのお母さんが言った。
私は走り出す。
「ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさ…。」
…あれ?悲しくて、辛くて…苦しいのに、涙が出ない。
…毎日泣き叫んだから、ついに…泣けなく…なったのか。
そのことを自嘲気味に笑う。
…できない。
笑うことすら…できなくなってしまった。
「どうやって…生きていけばいいのっ!?」