「わ、私はっ!…イシュタルでも神でもないっ!」
「全く…理解能力が低いな。詳しくは私の息子が知っている。」
そう言って彼は指を鳴らした。
奥の扉から、人が現れる。

…まさか今の会話丸聞こえか!?

「なんですか、父さん。」
銀髪の男が現れた。
…深紅の…瞳…。
珍しいな。
「この女は、ラーナ・アルルエリだ。」
国王の言葉に彼が目を見開いた。

見間違いか?

「彼女はイシュタルの生まれ変わりと考えられる。あのことを説明してやってくれ。」
国王の息子…王子が頷く。
そして私に向かって歩いて来た。




…ん?どこかで見た気がするぞ?
…気のせいか。

王子は私に向かって語りかけた。
「君は…神を信じていないね。」
「当たり前だ!神はいない。」
「いや、いるんだよ。」
王子はそう言って私を見つめた。



その顔は、少し儚かった。
どうしてだ…?

その顔が、私の心を締め付ける。


…言葉が、紡ぎにくい。
「…か、神が存在していたなら何故死んだ…?不死だろう?」