私とダイザは、首都手前にある門から歩いてこの城に来た。
もう一人の兵は、馬車を片付けるため、別のルートで城に向かったらしい。

ダイザが、城の門を開けた。
少し中を進む。
真っ白な城に、真っ赤な絨毯が敷かれた道だった。
「ラーナさん、着きました。
こちらです。」
ダイザはそう言って一番奥の扉を開いた。
私はゆっくりとその扉を通り、中に入る。

扉が閉まる音がした。
辺りを見渡すが、国王と私以外は誰もいなかった。

私は少し進んでから、ひざまずいた。
「…お前が、ラーナか?」
低く、重い声が部屋に響いた。
私はその声に頷く。
「そうか。…表を上げろ。私にその顔を見せるのだ。」
「…わかり…ました。」
私はそう言って顔を上げた。
初めて…国王の顔を見る。
彼は、少し長めのブラウンの髪をなびかせていた。
年齢は40歳後半ぐらいか?
彼は飄飄とした顔で歩いてくる。
途中、真っ赤な羽織りが翻った。
「ふん。…確かに美しい。」
そう言って私の顎を掴んだ。

き、気持ちわるいぞ!?
触れるな!

私は奴の手を振り払った。
「触れるなっ!」
「っ!!…何と気高い。この私に触れられることすら嫌うか。」
国王はそう言い、高らかに笑う。

…何がおかしい?
私が変なことをしたのか!?
…まあいい。
質問したかったのだから。
「私が…ここに招かれた理由は何だ…?」
「丁寧な言葉で話して欲しいよ。全く…。まぁよかろう。教えてやる。」
国王は言いながら、王座へと戻ってゆく。
そして、紙を取り出した。それを私に見せる。
「お前の体に、この痣はあるか?…答えよ。」
私はその紙を見る。


ーーーーーーー薔薇型の痣…。