春樹はクラス中がざわめき出したのを感じた。

クラスの人々は、どうやら口々に彼女の事を話しているようだ。

「おい、アイツってまさか…」
「ああ、間違い無ぇ。アイツだ」
「でもあの子って、不登校なんじゃなかった?」
「さあ?頭おかしい奴の考えてる事なんて、あたし等には分からないって」

どうやら春樹の周りの約半数の人々は、彼女の事を知っている様子だ。

春樹は自分だけ何も知らないと、仲間外れにされている様に感じてしまう結構な被害妄想者なので、後ろの席の彼女の事を知っているらしき男子生徒に話を聞いてみる事にした。

「なぁ、アイツって一体どういう奴なんだ?」

しかしその後ろの男子生徒が何か教えてくれる前に、扉の前に立っていた少女は、すたすたと教卓の前まで歩いて来ると、いきなり大きな声でクラスの全員に向かって何か話し出した。


「みんな!!
ウチと青春しない!?」