『ひどっ…いょ…蓮斗…気持ち…流す…っなん…』
もうなんて言ってるのか
伝わってないんじゃないってくらい
涙声。
蓮斗の顔なんて見れなくて、
早くここからにげたいきもちでいっぱい
立ち上がって振り払おうとするけど、
蓮斗は手を離してくれない。
後退りして逃げるけど
トン―…
と背中に当たるひんやりと冷たい壁。
お願い…
振るならはっきり言って。
優しくするのは逆につらいのに。
『柚乃…』
『やっ…ききたく…ない、やだ…っ、振ら…なぃっ…で』
やっぱり言わないで。
なんてワガママなんだろ。
優しくされたくないのに
振られるのも嫌で、聞きたくない。
『柚乃!』
グイッと力が手に伝わって
壁に押し付けられてしまう。
『やぁっ…んん…!?』

