背中を合わせて【完】

(もう十分服は汚れたよ。)



未夜は心の中で男の言葉に突っ込んだ。


男は座ったままの未夜に立つことを促して手を差し伸べる。


未夜の手は男の手を取ろうと手を挙げた...
と思ったがが、その手が重なり合うこともなく、未夜はベンチに手を置いてゆっくりと立ち上がる。


ちょっと足が痛かった気がしたけど、男の言葉で遮られた。



「えぇ!?。なんで俺の手スルーすんだよ。ひどいなー。」



差し出した手を引っ込めた男は立った未夜を見上げた。