背中を合わせて【完】

零の返してくれる返事は短いけど、零の顔を見ればちゃんと未夜の話を聞いてくれていることはよくわかった。



「最初は練習するのに誰もいない場所で歌いたかったんだけど、いくら上達したって、必死にプロを目指していたお父さんには自分の歌が負けてる気がしてた。」


「うん。」


「お父さんの代わりに歌うことを決めたのに、お父さんの代わりにもなれていない自分が惨めで、人に歌を聞かせることが怖くなったの。」



「うん。」


「だから誰にも私の歌は聞いてほしくなかった。」


「うん。」