そして急に真面目な顔つきになった。あぁ。あたしは、この表情(カオ)を知っている。


この表情は、龍蝶6代目“龍王”の表情だ―――…。



「いつまでも過去からにげてんじゃねぇよ。前に進まなきゃなんも変われねぇ!」


『…わかってるよ』



そんなこと、分かってる。いつまでも逃げちゃなにも変わらないことくらい。でもね?



『怖いんだ…、またあんなことになるのが』



理事長室にあたしの情けない声が響く。こんなんだから大事な仲間を守れないのかな…。



「無理にとは言わねぇ。でも周りを見ろ。お前には“仲間”がいるだろ?」



――たっちゃん。



『そうだね。いい加減あたしも前へ進まなきゃね…』



横からフッと鼻で笑う声が聞こえた。



「なら、頑張れよ。銀狼はいい奴等だ」