苦笑するセッテの顔を思い出し、佳乃はほほ笑む。

彼は今、幸せそうだ。
あの空港で交わした約束を守っていることを、わざわざ報告してくれたのだ。
それが嬉しかった。

鼻の奥がつんと痛むから、大きく息を吸って吐き出した。



「三上君、おめでとう。」



誰の返事もない部屋で、穏やかに写真に向かって呟く。
今度こそ、笑顔で祝福出来る。

セッテもノーヴェも、会社には居ない。
住所が書かれていないから、返事も出来ない。

だが、それでも。
届かなくてもいい。

佳乃は心から祝福した。






end