その瞳から、一粒。 見せまいとうつむいた拍子に涙が落ちて、アスファルトに染みを作った。 こんな自分勝手な涙を、セッテに見られたくない。 「気持ちが、止められなかったのよ。こんなオバサンに好かれるなんて、災難だったわね。」 自嘲気味な笑顔で、背筋を伸ばす。 かわいた瞳から、もう涙は零れない。 動けないでいるセッテの横を、佳乃はすり抜けて歩いて去ろうとした。 これでは外回りの時と同じではないか。 こんな形で終わらせては、絶対にいけない。