3駅ほどで佳乃は電車を降り、その後を追ってセッテも降りる。
無言で改札を通って、駅の外へ出た佳乃は、立ち止まった。

いつものオフィス街ではなく、大型百貨店近くの通りなので、人は多い。
歩みを止めた佳乃とセッテを、皆無関心に避けて通り過ぎていく。

セッテのほうを振り返りもせず、ただ立ち止まっただけ。
セッテは不思議そうに、そんな佳乃を1歩後ろから見守った。

「セッテ君。」

いつになく真剣な声。

「どないしたん?」

ふざけてはいけない雰囲気。
何か重要な事を言われるのであろうことは、すぐに察した。
佳乃は深呼吸して、セッテを振り返る。




「貴方を今日で、解約します。」