よくよく思い返せば、強くなろうと功を焦り、ただ強がっていただけだ。

(強く、なりたい。)

本心からそう思う。
肩にかけだバッグのベルトを、強く握り締めると、余った指が少しだけ手のひらに食い込んだ。
しかし、手のひらの痛みよりも、心のほうが痛い。

(上辺だけの強さではなく、誰かを支えられるような、強さが欲しい。)

今までこんな風に、誰かを支えたいと思った事はない。
誰かに支えてほしいとも思わなかったし、それが強さだと思っていた。
全ての事を、一人で出来る。
それが、強さだと。

(私は間違っていた。人は一人で生きていけるはずが無いのよ・・・)

支え合う。
その気持ちを、セッテは思い出させてくれた。