佳乃は深呼吸をして、資料と向き合った。

自分が居ない間に、セッテが綺麗にわかりやすく、作りなおしてくれたものだ。
次の会議で配るものだから、重要である。

相変わらずほれぼれするような仕事の早さだ。
ミスも無く、見やすく、それでいて重要なポイントは抑えてある。

佳乃は資料を置いて立ち上がり、別の資料をバッグに入れてから、社員用のホワイトボードの自分の名前の欄に、外出と書いた。
今日はこれから打ち合わせがある。

「次の会場の視察で、外回りしてくるわ。」

「わかりました。よろしくお願いします。」

部下達に見送られ、佳乃は課を出て行った。
会場の担当者へのアポは取ってあったので、後は約束の時間を移動で調整するだけだ。