「ちょっとドラッグストアによりたいんだけど、大丈夫?」

見知った顔が辺りに見えなくなり、佳乃は寄り道を告げる。

「ええよ。なんなら荷物くらい持つで?」

「目薬を買うだけだから、すぐ終わると思う。」

「そんなら、外で待っとるわ。」

快く承知してくれたセッテは、駅の近くのドラッグストアまで来ると、入口のところで佳乃に手を振った。
小さく手を振り返し、ドラッグストアの中へ入る。

何度も来たことのある店内は、夕方の早い時間とあって、親子連れ、会社帰りらしいスーツ姿、学生と、賑わっていた。

そのなかを目薬の陳列されている棚まで進む。
滅多に買うものではないので、その種類の多さに驚いたが、とりあえずひとつ手に取ってみた。

パソコンでの疲れ目に!

と、書かれているが、棚には似たようなものがたくさんある。
値段も様々だし、どれがいいのかさっぱりわからない。
高かろう良かろうで選ぶべきか。
少し離れたところにいる、白衣の薬剤師に尋ねてみるべきか。
セッテが外で待っていてくれるのだが、わかっていてもすぐに決められなかった。