幸運な息子達

落ち着いたので辺りを見回すと、布と糸を被った良くわからない巨大な箱があった。
金具を弄りその箱を開けてみるとサイドカーが入っているではないか。

そのサイドカーには機銃も取り付けられていた。
「スクーターの免許ならあるがな?」
弟を見るとそう言う。ヘリで逃げる手は無さそうだ。
海を見ると、巨大な飛行機が水に浮いている。
「飛行機なら?」
「ゲームだけならね」
決まった。私はバイク部分の隣に併設された機銃席に着き、機銃を抱え込んでみる。ひんやりと冷たく、頼りがいのあるような重みを伴うようなマシンガンだと思った。

「ナチスドイツ製のサイドカー…ああこいつら北朝鮮の連中だぜ。多分。」
弟曰く、目的は不明だがロシアの武器を受領した北朝鮮の軍人が日本に、運悪くこの家に来てしまったのだろうとの事だ。確かにそれなら先ほどの男の叫びも納得がいく。

バイクが動き出す。私たちを乗せて。