高2になった春………
太くて大きな桜の幹からはヒラヒラと薄い桃色の花びらが舞い降りてくる。
新学期を迎えた今、生徒たちはドキドキを胸に新たな一歩を踏み出していた。
「麗華~!今年も同じクラスだよっ」
「ほんとに?!嬉しい~」
勢いよく抱きついてきたのは小さい頃からの幼馴染みで、
あたしにとっての大事な親友、栗原 杏。
「今年の担任は絶対嵐先生がいいよねぇ!」
「うん!朝からずっとドキドキしてた~」
「可愛いなぁ、麗華は~!」
杏はあたしの首に手を回してきた。
「やめてよっ、杏ー」
“2-A”と書かれた教室に入ると、既に生徒たちで賑わっていた。
席に着こうとした、そのときだった。

