この塹壕は全滅だな。
　応急のためすぐに立ちあがろうとしたが体の異変に気づいた。下半身の感覚がない。
　下半身不随
　すぐに分った。俺は立つのを諦めそのまま匍匐前進する形で這いずりまわした。
　衛生兵を呼ぶためである。いまの状態では無理である。
　５･６メートル這いたあとで会話聞こえた。塹壕の前に赤軍兵士が２・３人いた。
　何かを投げ走り出した。投げた物は、手榴弾。
　その手榴弾が地面落ちた同時に爆発した。
　その爆発は塹壕の中を完全に破壊した。そして俺の右足を吹き飛ばした。
　神経が切れて痛み無かったが、右足のちぎれた部分から血が流れ出した。
　俺はあまりの包帯を取り出し右足のちぎれた部分を巻いた。しかし血は止まることなく包帯を紅く染めた。
　俺は壁に座りもたれた。