爆発音がした。俺はすぐに向かった。その爆発音の後から数人の死体が見えた。
 さっき爆発で死体の周りには散々と肉塊が散らばっていた。
 俺はその死体の名前を呼び続けた。
 返事はない。その代わりに銃声と爆音だけが聞こえる。
 また爆発が聞こえた。俺は塹壕の外を見た。
 赤軍の戦車だった。
 戦車が塹壕に向かい撃ってきた。
 塹壕にいる兵士達はその戦車に向かって撃ち続けたが、止まることなく向かって来た。
 そしてその戦車から砲弾が撃たれた。砲弾が俺の近くで炸裂した。そのまま爆風で吹き飛ばれ地面に叩きけられた。
 すぐに気がつき俺は上半身を起こし周りを見回した。
 爆風に巻き込まれた者達が横たわっていた。即死の者・呻く者。正常者が誰一人いなかった。