1945年4月 ベルリン

 俺は唄を歌っていた。それ歌声は誰も聞こえないくらい小さい声だろう。その歌は俺達のフランス人親衛隊の唄だった。
『悪魔を唄』
 誰が作ったか分からないが可笑しかった。
 前には悪魔と呼ばれた赤軍の群れが走っている。あの悪魔達はどこへ向かうのか?
 壊れた瓦礫にもたれ座りながら考えた。 俺の国のフランスはドイツによって敗れた。その敗北させた国のドイツに志願して義勇軍としてこの戦争に参加した。ドイツの思想には共感していない、ただ生きるためだ。 
 だれも俺を気づく様子はない。右足を吹き飛ばされ壁にもたれている敵兵は奴らにしていればもう死んだ事になるだろう。
 実際は生きている。しかしあとその生きるのも数分だろう。そしてその数分後にはただの死体となる。