｢随分と急な事だな。君を見る限り、まだ子供ではないか。それで我々に信用しろというのかね？｣


｢確かに、若いというより幼いに近いんじゃねえかい？｣

まだ高校生にも満たない外見の少年に対して米国地域代表のＤが口を開いた。
その言葉にＦ・そしてＦと話していたＳはＲに視線を向けて、口調に反して口元に笑みを浮かべた。
Ｋの席にゆっくりと腰を掛けたＲは、目にだいぶ掛かった前髪を片手で後ろにと掻き上げ、Ｄの方を向き、表情一つ変えずに縦に頭を頷かせた。

｢皆さんの言う通り、急な決定に加えて代理が私では、信頼性に欠けるとは思います。まあ、信じて頂かなくても結構ですよ。皆さんが信頼せずとも仕事に影響は一切ありませんので…。｣


淡々と紡がれた言葉は、場を一気に黙らせて年齢に合わない冷静な返しに、Ｄの表情に微かだが苛立ちを募らせた。しかし、ＦとＳは自らを馬鹿にされた発言にも関わらず、新しい風の吹き入れを楽しげに見ていた。


｢失礼します。Ｒ様、例の潜入員ですが、東京原宿地区にてロスト。近くに反日本軍を名乗る米兵が監視カメラに映っていたので、それが何か関係あるかと。｣


｢…、そうか。｣


｢Ｒ、君の部下が一人拉致された様だな。捜索はさせないのか？｣


｢ええ。それに、これも計算の内ですから。｣


Ｄの言葉に助けようという意思は全く感じられず、迷う事もなく頷けば、ポケットから一枚のカードを摘み引き抜いては、絵柄に描かれた死神を見つめて、口元に笑みを浮かべた。