レジスタンスの本部は地下世界の中央部にあり、他の建物とは違い、逆探知をさせない為の機械が設けられ、過度な衝撃にも耐える事の出来る通称[盾壁]という壁に守られた砦でもあった。
蓮哉と晃は呼び出された理由を聞きに扉をゆっくりと開いた。


「やっと来たか。まあ、取り敢えず頭に会って聞いて来な。此所で時間を喰わせたら俺が怒られちまうからよ。」


扉を開いた先には顎に生えた無精髭を片手に擦りながら、二人の到着を待っていたのは受付カウンターに腰掛けていた倉橋だった。
倉橋樹(くらはし・いつき)は本部に相談や依頼をしに来る人々の話を聞き、レジスタンスに依頼を話す仲介役の様な役職で、気さくな性格からか、皆の兄貴分として頼られている。


「分かってる。俺達も説教は御免だからさ。おい、待てよ蓮哉!」


晃は挨拶を交わして足早に頭の部屋に向かう蓮哉を追いながら、倉橋の方を向いて口元に説教の場面を想像し苦笑いを浮かべ、いつの間にか差の開いた事に気が付いて駆け足で追い掛け出した。