女王さまの憂鬱

さくらは、決して派手な部類の女ではない。

どちらかと言えば品が良い。

秋めいてきた今日だって、ジャケットにモノトーンのスカート姿。丈も常識範囲内。

年相応と言えば年相応、けれど童顔のせいで背伸びしているようにも見える。

そして、中学高校と六年間を女子校で育った彼女は言葉遣いは至極丁寧で、物腰だって穏やかだ。

「それにね」

さくらは少し神妙な顔つきになる。

「私、知的な眼鏡男子が好きなのよね」

「でもって、スーツの似合う人?」

「白衣でも可!!」

「文学部のわたしたちには縁のない人種ね」

「それに、敬語キャラも好き。加えて年上ならなおのこと可」

「どこの執事だ」

確かにさくらは可愛い。
性格に癖はあるけれど、確かに可愛い。

だけど、何人の男子が知っているだろう?

さくらが筋金入りのオタクであることを。

しかも、ちょこっと腐女子に片足突っ込みつつあることを。