「約束するよ。オレは絶対、悲しませないから――」
無言になった松原さんの顔を見たとき、そこからどうなるのか予想はできていた。
わたしは、だんだん近づく顔を……拒もうとしなかった。
指で耳の辺りを優しく撫でながら、松原さんはわたしの唇を塞いだ。
柔らかな唇の感触、少しだけ漏れる息……
絡み合う音だけが車内に響き渡る。
何もかも、拒もうと思えばできたはずだ。
髪を触られるのも、唇を重ねるのも、舌を絡ませるのも……。
そうしなかった自分が、恐かった。
コントロールできないほど、雅城に対する信頼感を失っていた。
それが頭で一瞬理解できた時、また余計に恐くなって、夢中で松原さんの腕にしがみついていた。

