「うーん。見事、ホントに綺麗。

お母さんに感謝しないとね。

……ところでほら、広瀬得意の花言葉は?」

「えーっと……あじさいはですね、梶原さんのような、璃音さんのような花言葉ですよ」

「なにそれ? あたしと璃音ちゃんなんて結びつかないんだけど?」

「あじさいってたくさん花言葉あるんです。

梶原さんぽいのが『高慢』とか『元気な女性』、『あなたは美しいが冷淡だ』とか。

璃音さんっぽいのは……『辛抱強い愛情』っすね」

「なんだそれー!花に罪はないけど、広瀬には罪はある!」

両手がふさがっている梶原さんは広瀬くんのすねを目がけて、力強くつま先を向けた。

「いたた……! もう、酷いっすよ……教えろっていうから教えたのに……」

梶原さんは広瀬くんに文句を浴びせながら、花瓶を取りに給湯室へと向かった。


広瀬くんは何も知らずにわたしに向けた言葉だろうけれど……今のわたしにはちょっとダイレクト過ぎて思わず苦笑いだよ。