別れの宣言だと思ったのか、雅城は目をそらして少し不機嫌そうな顔になった。


「そうか……」


返事もいつもより、力無く感じる。

田上さんと別れた時の雅城と似たような表情だ。

全力で愛するからこそ、別れの時の脱力感は相当なものに違いない。

終末を想像しているであろう今、やっぱり雅城の顔にはいつもの強気な色はなかった。


「田上と別れた時に、きちんと自分の悪いところを理解できていれば良かったんだけどな。

どうやらオレは、同じことを繰り返してるみたいだ」


田上さんは、雅城への事細かな不満を述べずに別れた。

だからこそ、雅城の頭の中は疑問符だらけで、反省するどころか、よくわからないまま彼女の気持ちが離れていったという感覚だろう。


そして今も……雅城はわたしからの言葉を想像しながら、同じことを思っているように見えた。