「松原と喧嘩でもしたのか」


雅城は、インターフォン越しのわたしの声を聞いて、言葉を失っていたけれど、割とすぐにドアを開けてくれた。

帰れとも、用はないとも言わず、黙って鍵を開けると、

「掃除さぼってるから、汚いかもしれない」

と、ぶっきらぼうに言いながら廊下を歩いて言った。


ソファの周りには、脱ぎ捨てたYシャツが重ねられ、その横には洗濯を終えたYシャツが積まれていた。

その日に着るものだけをアイロンがけしているのか、部屋の隅にはアイロンとアイロン台が出しっぱなしになっている。

その他は、わたしが出て行く前とあまり変わっていないことに気付くと思わず顔がほころんだ。


「わたしは、雅城と話をしにここへ来たの。

きちんと話さないといけないって思ったから……」