ただでさえ、心配性の雅城。
過去に彼女を取り合った経験のある同僚と、またも同じ目に遭わないといけないかって思ったら……
確かに、気が気じゃないだろうな。
そう思うとなんだか急に、雅城のことが頭から離れなくなっていた。
「その後、北野はオレに報告して来たよ。
『田上とつき合うことになった。
お前と二人で会うようになったきっかけも、先にお前が告白したことも、すべて田上から聞いたよ。
オレは最後まで正々堂々と戦ったつもりだし、田上がオレを選んでくれたことに精一杯応えるつもりだ。
田上のことは、全力で幸せにする』
……オレは、最後までやっぱり負けだった。
北野にはどうしても、どうやっても叶わないんだ。
交流を絶つと、余計に敗北したって認めるようで、オレは気にしないフリをして北野と会話をするようにし続けた。
けどさ、結構辛くてね。格好つけるのも楽じゃないってよくわかったよ。
だから、北野が商品開発課に異動になった時は少し楽になった。
昇進するのはやっぱり悔しかったけど、北野の顔を見て、田上との時間をどう過ごしているのか想像することがなくなると思うと、随分と楽になれたんだ」

