「あぁ。割とフレンドリーだけど、ガードは決して緩くないやつで、惚れた男にしか開放しない扉みたいなものがあったよ。
それに気付いた時、オレはただただ焦るばかりでさ。
告白すると言い出したらどうしようかとそればかり気になってた。
その頃から、相談という名目でオレと田上は、二人で会うことが増えてきていたんだ。
でも、どこでどう知ったのか、秘密の会合が北野にばれてさ。
再び男同士の酒を飲んだ時、オレは北野に見放されたよ。
『抜けがけか? 汚いやつだな』
そう北野に言われた時……今は確かに相談のためかもしれないけど、そもそもは焦ったオレの単独行動が発端だっただけに、何も言えなくてね。
しかもオレは、もうこいつに負けてるってことがわかってるから、悔しくなってつい嘘を言ってしまった。
田上から誘われて会ってるんだから、仕方ないだろう? 誘われてるのはオレの方だって。
……それ以来、北野はあまりオレと口をきかなくなったよ。」

