「はしゃいでる自分がなんだか馬鹿みたいで恥ずかしくてさ。
田上は、三人でいてもずっと北野のことしか男として見ていないってことに気付かなかった鈍感さも情けなくてね。
それでも最初は、やっぱりかっこつけて黙って田上の話を聞いてやってた。
田上は、頬を赤くしながら嬉しそうに北野のことを話すんだ。
田上って好きなやつのことを思うと、こんな顔するんだって思うと、ますます北野に対して妬みを増すオレがいたよ。」
「田上さん……北野さんの事、そんなに好きだったんだね」
わたしは、雅城が田上さんと別れた頃のことを思い出した。
田上さんにふられたんだと言う雅城の落ち込んだ顔が忘れられない。
肩を落とし、あいつの気持ちがわからないと嘆く姿からは、そんなにも熱い想いを持った田上さんを想像できなかった。

