「……っと、なんだかやけに今日は愚痴っぽいな、ごめん。」
本人の言うとおり、今日の瞬は、らしくないと思った。
普段あまり、こんな後ろ向きな発言をしている姿を見たことがない。
「オレってさ、北野にものすごくコンプレックスを抱いているから、人前じゃなるべくそういうのを持っていないようにふるまってるんだ。
でも――今日はなんだか、古傷が痛み出して来たみたいだよ。
……思い出って、嫌なものは簡単に消せればいいのにな。」
日が落ちた室内は、窓を開けていたら半袖ではまだ少し肌寒い。
さっきから震えてるのは、雅城の話題だからという以前に、単純に寒いんだということに気付くと、床に落ちている瞬のTシャツを拾い上げ身を包んだ。
タオルケットを羽織ってベッドの上に座り直したけど、目線をどこに置いたらいいのかわからない。
困ったわたしは壁に寄りかかり、体操座りをして膝を抱えた。

