【完】三つ子のヤクザと狼娘 巻ノ参





「それ、強制?」



「強制」





 奏太さんは言ってから、前かがみの私の髪を引っ張った。



「きゃっ!?」



 バランスを崩して、私は奏太さんの胸元に倒れこんだ。




「俺たちは、恋人なんだからな。敬語なんて使うな」



 恋人。



 その言葉を聞くと、まだくすぐったい。



 私、苛められっこだったから。男の人なんて本当に無縁で。



 だからこういう風にしてること自体、不思議な感じ。