「それ、強制?」 「強制」 奏太さんは言ってから、前かがみの私の髪を引っ張った。 「きゃっ!?」 バランスを崩して、私は奏太さんの胸元に倒れこんだ。 「俺たちは、恋人なんだからな。敬語なんて使うな」 恋人。 その言葉を聞くと、まだくすぐったい。 私、苛められっこだったから。男の人なんて本当に無縁で。 だからこういう風にしてること自体、不思議な感じ。