「結婚しろ、とは言ったけどさ、親父はクソババァにそれなりの言葉言ってるらしいんだよな。なんか、一緒にドライブ行って、『あの夕焼けよりきれいな君と結婚したい』とかなんとか」 恥ずかしいのかな。奏太さんがモゴモゴとしか言わないから、なんて言ってるのかよくわからない。 「どういうこと?」 「だから、正式なプロポーズしてぇんだよ!」 奏太さんが言った。 バイクが一瞬、グラッと傾いた。 「きゃっ」 「あ、すまねぇ」 奏太さんの横顔が一瞬、見える。奏太さんの頬は真っ赤だった。