千秋さんがなんて答えたかは知らない。 遠すぎて聞こえなかったから。 「十一時です」 「それっていつも同じか?」 すると千秋さんがやってきて。 「いつもほとんど同じです」 「千秋、昨日の交代の時、明菜が来る前に持ち場を離れたか?」 千秋さんは、あ、と言って 口を覆った。 「明菜がなかなか来ないんで、呼びに行ったんです」