2日後にお父さんのお葬式は行われた。
お母さんはそれから笑顔を見せることはなくなった。
毎日お母さんがお父さんがいた分、頑張っている。

義之のお母さんたちが心配して、夜はご飯食べにおいでと誘ってくれたり、義之がうちに泊まりに来て一緒に寝てくれたりしてくれてたおかげで私は1人になることは滅多になかった。


だけど、義之が泊まりに来るのは中学二年までだった。
あれから歳を重ねるたびに私達も成長をしていて、私は女性に近づいた体になっていき、考えも大人に近付いた気がする。義之は義之でそんな私を間近で見てきているのもあったし、男性に近付いてもいたから、一緒に学校は行ったりするけど、家に遊びに来ることはなくなった。


そんなある日、お母さんが珍しく私が学校から帰ると家にいた。

「ただいま」

「お帰り」

お母さんの疲れきった顔をしているのがハッキリわかる。

「今日は珍しく夜は休みなの?」


私は遠慮がちにお母さんに質問をした。
久しぶりにまじまじとお母さんの顔を見ながら、話しかけたかもしれない。
お父さんがいなくなってから、1ヶ月に1回、顔を合わせるくらいだったし、昼も夜も働いてるお母さんに心配をかけないように自分のことは自分でやっていた。


「ちょっと舞に話があって、今日はお休みをもらったの」


お母さんは真剣な顔をして、私のほうを見ながら言ってきた。

「なに?」

「お母さんさ、舞のためにお父さんがやってきてくれたお仕事を代わりにやろうと思うんだけど、舞はどう思う?」

お父さんがやってきた仕事は個人経営の車屋だってことは聞いたことがある。
だけど、結構難しい仕事だって話していたのを思い出す。

「別にいいと思うけど、難しい仕事なんじゃないの?」

「難しいけど今までと違って、朝舞を学校に送りだすこともできるし、夜は家にいることができて、舞と一緒に過ごせる時間が増えるのね。だから、お母さんは難しいかもしれないけど、お父さんがやってきた仕事をしたいかな…」

「お母さんがしたいならやってみればいいんじゃない?」

「舞ありがとう。お母さん頑張るね。」


そう話した次の日からお母さんはお父さんがやってきた仕事をやり始めた。
私はと言うと最近はコッソリ夜抜け出すことが多くなっていた。