「舞っ」

「おじさんっ」


聞き覚えのある声に気付いて、義之のほうを見ようとしたときにはもう遅くて…
ドンッと突き飛ばされて、ドンッガシャーンって大きい音でやっと動けるようになった。


「お父さんっ」


私が駆け寄るとこにはさっき義之と買った花束が道路に無惨にもグシャグシャになっていて、車は電柱に突っ込んでいて前方がグシャリと潰れている。その車から少し離れたとこに私のお父さんは横たわっていた。
お父さんの周りは、赤い物がじわじわ広がっていて、それが血だとすぐわかる。


「お父さんっ」

「おじさんっ」

義之もお父さんのとこに駆け寄ってくる。

「…舞。無事で良かった」

「…お父さん」

私は泣きながらお父さんの体を揺さぶる。


パトカーと救急車が来て、お父さんは担架に乗せられて、救急車の中に入ってく。
私と義之も一緒に救急車に乗って、病院に向かう。
その間の私は泣きやむことができず、お父さんの手を握って、心の中で、大丈夫。お父さんはいなくならない。助かるって言い続けていた。
そんな私を隣でずっと後ろから、ギュッと抱きしめながら、お父さんと握ってないほうの手を握りしめながら、大丈夫。って言い続けてくれていた。


病院に着き、お父さんは手術室の中へ連れて行かれた。
私はその前にある椅子に泣きながら座って、ずっとお父さんは大丈夫だよ。って言葉を待っていた。
警察がお母さんに連絡したからって伝えに来てくれて、義之は私のお母さんが来るのを病院の入り口で待ってる。と言って、病院の入り口に向かった。