ジリリリリとうるさい目覚ましを止めて、目を開けると窓から明るい日差しが差し込んでくる。
目覚ましが鳴る前から起きていたけど、目を開けることをしなかった。
また死に近付いたのかと考えていたから。



はぁ…今日から新学期か…。
またあのうるさい連中と一緒だと思うと憂鬱だ。


制服を着ながら、学校へ行く支度をしていると、下から階段を駆け登ってくる足音が聞こえる。
時計を見ると7時15分を指していた。


やべっ。もう迎えが来たか…。
家が隣だからって、毎日迎えに来なくたっていいのにさ…。



そんなことを考えて支度を終えたと同時に、私の部屋のドアが勢いよく開く。


「舞ーおはよー」


勢いよく入ってきたのは、やっぱりお前か…。


「義之…んな朝から大きい声出さないで」


低血圧のせいで、朝は苦手な私にとって義之の声は頭に響く。


「んな、朝から機嫌悪いと幸せが逃げちゃうよ?」

「低血圧なの知ってるでしょ。何年あんたは私といんのよ。」

「17年?」

「だったら、いい加減わたしが朝苦手なの覚えて」

「まぁまぁ、朝から怒らない、怒らない。早くおばさんが降りて来いってさ。俺先におばさんの飯食ってるから、雷が落ちる前に早く降りて来いよ」

「わかった」


ケラケラ笑いながら出て行った義之とは、親同士が昔からの友達だったってことで、生まれた時から一緒にいた。
中学生のときに受験だからと言って、会わないでいたけど、高校までも一緒になるとは思ってもいなかった。
毎日、朝迎えに来て一緒に学校を行き続けていたら、周りからは恋人同士だと見られてしまっている。
そのせいか今だに恋をしたことがない。



もう2年になるんだから、恋の1つや、2つしたいんだけどなぁ…。
新学期だし今日から少し、自分を変えてみようかな。
じゃなきゃ、いつまで経っても恋愛できなそうだし。