教室へ着くと多磨樹は自分の席にすでにカバンを置きどこかへ行ってしまってるのか、どこにも姿がなかった。
ＨＲが始まる時間になる少し前に戻ってきて、私の席の隣に腰をかけた。

｢多磨樹、なんでさっき機嫌悪かったの？なんか私がいけないことしちゃった？｣

｢はっ？俺、機嫌悪そうにしてた？｣

｢うん。｣

｢別になんもねーよ。｣

そう言いながら、いつもの優しい笑顔を見せてくれた。

｢なんだぁ。てっきり何かしちゃったのかと思った｣

｢んなことないから、気にすんな。｣


そう多磨樹が言った時にチャイムが鳴り、先生が教室に入ってきた。

｢みんな、おはよー。今日は始業式がこのあとあるから、ちゃんとした格好で出るように。体育館にすぐ集まってくれよー｣


私たちの担任は熱血教師って感じはなく、友達みたいな教師で、喧嘩とか問題が起きなければ、滅多に怒ったりしない。
本当にフレンドリーな担任…多田先生。
周りからは多田ちゃんって呼ばれている。