学校に近づき、もう間に合うって手前でものすごい勢いでこいでいた足をゆっくりしだした義之。

「ここまで来れば、大丈夫だな」

「うん。さっきはごめんね」

私は素直に謝り、義之の背中に寄りかかる。

「別に気にしてないから。それよりくっつきすぎじゃね?」

「頑張って落ちないようにしてたら疲れた」

「普通にしがみついてりゃー良かったのに」

「急がないとって考えてたら、その行動をとること忘れてた」

「ま、落ちなかっただけいいか」


私たちが話していると後ろから声が聞こえた。

「お前ら本当に仲がいいな」

私たちに話しかけてきたのは多磨樹だった。

「おはよ。多磨樹」

「舞、おはよ。ってか、くっつきすぎじゃね?」

「遅刻しそうになって急がせたから落ちないようにしがみついてた」

さっきした行動なのに、なぜか嘘をついてしまった。

「そっか」

なぜか多磨樹は不機嫌な顔になり、素っ気ない言葉を残し先に行ってしまった。
それがなぜなのかわからなくて、機嫌が悪くなるような態度を私がしてしまったのかと思い、義之に問いかけた。

「ねぇ、なんで多磨樹、機嫌わるくなったの?私なにかしちゃった?」

「知らねぇ。教室着いてから聞いてみれば?」

「そうする。」

義之にも多磨樹の機嫌が悪くなった理由がわからなかったみたいだった。


学校に着き、私たちは教室へ向かった。