そんなわけないと思いつつも
部屋の前に行ったら。


「なな…」



しゃがみこんでる
なながいた。

膝を抱えて小さくなってる。


「なな…?」


俺がいることに
気づいてる筈だけど
ななはじっと俯いたままだ。


横顔ではっきり分からないけど
目は腫れてるし、
今だって涙をいっぱい溜めてる。



「ごめんね…
信じなくて…
ひどいこと言って…

なのに…なのに
来ちゃってごめん」

ななが溢れる涙を
手で拭ってぽつりぽつり言った。



「そんなの気にすんな。

俺こそ、ななが
傷つかないようにって
考えすぎて結局守れなかった…
ごめんな」

俺はななの傍にしゃがんで
ぎゅっとななを抱きしめた。



「ごめん…俊太ごめん…」

ななは俺の肩に頭を乗っけて
弱々しく何度も謝った。